プリーストリー作『夜の来訪者』を読んだ

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

戯曲作品を読むのはこの本が初めてだ。いつもと違うフォーマットに最初は戸惑っていたが、読んでいるうちに形式の異を感じさせない怒涛の展開に引き込まれた。
『娘の婚約を祝う一家団欒の場に警部を名乗る男が現れ、若い女性の自殺を告げる。はじめのうちは我関せずといった調子で警部をあしらっていた一家は次第に事件の詳細を知る。そして死んだ女性と各々の関係から、自身の安易な行動に対する責任の重みを知ってゆく』

この作品では支配階級の短絡的な行動が悲劇を起こす。現在、日本には江戸時代の士農工商のような身分の差は存在しないとなっているが、明らかにヒエラルキー・格差が存在する。支配階級のひとが何の気なしに言葉を発しただけで悲劇が起こるかもしれないのである。
支配階級に属する人はそこんとこよーく考えて行動して欲しいものだ。