市場経済と理系離れ

レジデント初期研修用資料:市場の崩壊と品質の帰還

世の中には「0 から1を作り出す人」と「1 を10に増やす人」とがいて、
市場というのは主に、「1 を10にする」人達の都合で大きくなる。

mixi のようにアイデアから起業する文系のひとも多いとは思いますが、ものづくりに関わっている人の多くは理系出身だと思います。この記事でいえば「0から1を作り出す人」は主に理系、「1を10に増やす人」というのは文系職に着いている方々を示すともいえるかと。

製品を増やす人。広告をする人。流通を作る人。スーツを着た人。人と人とをつなぐ仕事。こんな人達がわずかに増えるだけで、生産性は一気に10倍に跳ね上がる。

市場が生まれる。会社が大きくなる。スーツを着た人達の発言力が高まっていく。

作る人の発言力は、相対的に低くなっていく。製品を届ける手段であったはずの「メディア」や「流通」は、そのうち目的となって一人歩きをはじめ、市場からは「より良いものを作る」動機が失われてしまう。

0から生まれた1は市場に出るときには10になります。作り出した当初の価値1に対して10となり、差分の9が流通、広告などで消費されます。クラークの分類を適用するならば第三次産業以上の項目にあてはまる部分の資金として、具体的にはサービス業(第三次産業)や情報通信業第四次産業)の為に使われます。

結果、理系で就職するよりも、文系に進んで真面目に就職活動して金融関係や商社に進んだ方が給料は良くなります。塾講師をやっているときに生徒が言った「おかあさんが数学や理科は役に立たないって言ってた」という言葉の裏にはこのような事実があるのではないでしょうか。

芸能人が理系科目の不必要性を論じ、豪華な邸宅をTVに公開しているのを見ていれば、親も子供に理系の道を歩ませないよう誘導するのもわかります。

理系で泥くさくモノをつくるより、モノを動かしたほうが稼ぎがよくなるという事実が理系離れを進めている原因のひとつではないかと思います。